結婚式にて新郎のタキシードの胸元にチーフを挿すこと、それは男性の身嗜みの一つです。新郎がチーフを身につけるのは結婚式などのフォーマルなシーンだと認識されがちですが、男性の品格を保つために必要なアイテムです。また胸元にアクセントを加えることで、フォーマル・カジュアル・ビジネスなど様々なシーンにおいて相手へ良い印象を与え、自身のイメージアップに大きく繋がります。また挿し方やウェアと小物で見せる表情の変化、風合いの違いによって影響があることもポイントの一つでアイテム選びの醍醐味とも言えますので、ご紹介致します。
チーフとは
テーラードジャケットの胸ポケットに装飾として挿す布のことであり、英語では「pocket square(ポケットスクエア)」と呼ばれております。今では、当たり前となっているジャケットの胸ポケットですが、実は元々存在しなかったディテールです。メンズウェアにおいて最初に胸ポケットが施されたのは、19世紀半ばのチェスターフィールドコートからだと言われております。ちなみにコートの胸ポケットに挿すのはポケットチーフではなくグローブ(手袋)というのが当時の常識でした。そのためポケットチーフの誕生は1920年代に入ってからとされております。
余談ですがポケットチーフ自体の起源として、中国の農夫が日よけとして身につけていた麻布を15世紀にフランスの船乗りが故郷へ持ち帰り、エポーレット(肩飾り)や左袖上に挿したことが原点であるという説も。
セミフォーマルやビジネスシーンで誠実さを表す
「スクエアスタイル(TVフォールド)」
ここからは、チーフの挿し方を3種ご紹介いたします。まずは主張が強すぎず、フォーマルからカジュアルまで幅広く対応できる最もポピュラーで取り入れやすい挿し方がスクエアスタイル(TVフォールド)です。アメリカのテレビ番組のニュースキャスターがTV映えする挿し方として好んだことから、TVフォールドとも呼ばれております。シャツを合わせたフォーマルスタイルにおいて、チーフをスクエアで挿すとどんなスタイルにも合わせやすく相手に誠実な印象を与えることができます。バンドカラーシャツにスクエアスタイルを合わせると、首元のすっきりした抜け感と共に、胸元にも軽快さが出るのでお勧めです。またポケットチーフに柄が入っている場合にも、スクエアスタイルであれば柔和な印象を与えますのでさりげないお洒落も楽しんでいただける挿し方です。
【手順】
①チーフを裏面にして、平らに広げます。
②手前側へ半分に折りたたみます。
③左右半分に折りたたみます。
④さらに半分に折りたたみ、下辺を1/3程度上にたたみ、ポケットに入る高さを調整します。
パーティーシーンで華やかさを演出する
「パフドスタイル」
“パフ”は英語で「フワっとふくれたもの」を意味します。そんな名前からも連想できる通り、ソフトな表情を演出できるチーフの挿し方がパフドスタイルです。男性らしいスタイルに華やかさを取り入れることができます。別名アイビーホールドと呼ばれることもあり、様々なシーンで好まれる挿し方です。挙式・披露宴では、ブラックやミッドナイトブルーのタキシードといった正装を身に纏うため堅い印象にも見えてしまいますが、ポケットチーフをパフドスタイルで挿すことで明るく華やかな印象に仕上がるので正統なスタイルにはパフドスタイルがお勧めです。またジャケットのラペル部分には、プロポーズの証であるブートニアが付きます。そのブートニアがより引き立ち立体感が増すのでタキシードスタイルとの相性が非常に良いです。
【手順】
①チーフの表面、真ん中部分を掴みます。
②③つまんだまま、反対の手でチーフの裾部分を軽く絞るようにして握ります。
④裾部分を握る手の位置はそのままに、チーフの下半分を上側へと折りたたみます。
⑤チーフの端部分をを胸ポケットの形を崩さないように挿しこみます、フワッと見えるように形を整えます。
カジュアル・パーティーシーンで優美な躍動感を演出
「パフドクラッシュスタイル」
パフドスタイルの華やかさとクラッシュドスタイルのカジュアルさを兼ね備えたスタイルで、独特の躍動感と動きのあるメリハリを演出する挿し方がパフドクラッシュスタイルです。個性を表現するお色直しのコーディネートに最も好まれており、大胆で優美な躍動感はチーフをより魅力的に昇華します。お色直しは、挙式の正統なスタイルから新たにご新郎様の好みの色や柄のお小物を取り入れ、お二人らしさを表現できるシーンだからこそ胸元に存在感を与えるパフドクラッシュスタイルはお勧めです。ポケットチーフに動きが出る挿し方なので、入れ方次第でボリュームや柄の大小を使い分けることができます。また入れ方も個人の自由があり、一枚のデザインの中で魅せたい柄や色を選択することで遊び心を持たせることができます。
【手順】
①チーフの表面、真ん中部分を掴みます。
②③つまんだまま、反対の手でチーフの裾部分を軽く絞るようにして握ります。
④裾部分を握る手の位置はそのままに、チーフの下半分を上側へと折りたたみます。
⑤チーフの形を整えすぎない事を意識して、胸ポケットの形を崩さないように挿しこみます。
トリート ジェントルマンでお取り扱いしてるチーフのブランドをご紹介
Atto Vannucci / アット ヴァンヌッチ
Atto Vannucci (アット ヴァンヌッチ)を製作する工房は、SEVEN FOLD社が2011年7月(前身を含めると1995年から)に始業しました。絶滅の危機すらあったハンドメイド・ネクタイを末永く提供したいという思いのもと設立されたこの工房から生み出されるAtto Vannucci (アット ヴァンヌッチ)は、手縫いで温かみある丁寧な作りに定評があります。そして、メーカーというポジションからではなく洋服屋としてネクタイを提案する、というスタンスによって独自のポジションを築いています。TREAT Gentlemanで買い付けているAtto Vannucciのポケットチーフは、ダブルフェイスになっており先程ご紹介をしたパフドスタイルやパフドクラッシュスタイルで挿した場合に、両面の違った柄行や色味が見えるので胸元に洒脱な印象を与えます。またTVフォールドでお召しいただく際には、その時に使用されるお衣裳の色味やお隣に並ばれるパートナーのドレスの色味に合わせてご使用もいただけるので、1つのチーフで様々なシーンにご使用いただけるデザインとなっております。
SIMONNOT GODARD / シモノ ゴダール
1787年に創業されたリネン、ハンカチーフ、薄地綿織物を北フランスの生産ベースでハンドメイドにて手掛ける老舗ブランドSIMONNOT GODARD(シモノゴダール) 。コンセプトは美しいクオリティの繊細な商品作りです。ファッションの最高峰と言えるオートクチュール界を筆頭に世界から高い人気を集めており、エルメスやディオールなどの高級メゾンに顧客を持つことからも信頼と品質の高さが伺えます。コットンリネン素材のポケットチーフは、繊細な生地感と滑らかな肌触りが特徴のエレガントな質感漂う一枚です。トリート ジェントルマンで買い付けているSIMONNOT GODARDのチーフは、大判なサイズで胸元にボリュームが出るので、華やかさを演出します。素材は100%コットンを使用しており、ハンカチとしてもご使用いただけるよう作製されている為、結婚式でご使用いただいた後でも長く愛用いただけるチーフです。カラーバリエーションについてはカラードレスに合わせて買い付けを行っており、今期はペールトーンの清涼感ある淡い色やブラックタキシードとの相性が良いダークトーンの展開となっております。
着こなしに心得がある人は、まず胸元を見る。と言われるほど、チーフの重要性は高くスタイリングへの影響力があります。そのため素材一つでシーズンを表現することができたり、サイズや色で印象を大きく変えることができます。トリート ジェントルマンでは、今回ご紹介したアイテム以外にも多くのアイテムを取り揃えております。皆様のご来館を心よりお待ちしております。
昨今の新型コロナウイルス感染症により工場の受注停止を受けましてチッチオのオーダータキシードの販売を一時停止しております。
販売再開の時期は現在未定です。お客様には大変ご迷惑をおかけしますが、何卒ご理解くださいますようお願い申し上げます。
また、トリートオリジナルのオーダータキシードに関しましては受注をお受けしております。